この記事は、2027年NHK大河ドラマ『逆賊の幕臣』(2027年1月10日放送開始/主演・松坂桃李)の関連記事です。▶ 大河『逆賊の幕臣』特集に、関連記事とキャスト一覧をまとめています。
史実をふまえたうえで、「もしあのとき別の道を選んでいたら」を管理人なりに考えるシリーズです。前半は史料にもとづく史実、後半の「もしも」の部分は管理人の考え(推測)です。

小栗忠順(小栗上野介)は、自分で本を書き残した人ではありません。それでも、まわりの人たちが書きとめた小栗の言葉には、今読んでもはっとさせられるものがいくつもあります。
この記事では、小栗が言ったと伝わる言葉と、ほかの人が小栗について語った言葉を集め、それぞれ「いつ、どんな場面で」「誰が書き残したのか」と一緒に紹介します。言葉の多くは本人の死後に書かれた回想なので、出どころもあわせて確かめてください。
小栗上野介の名言—先に答え
| 名言(要旨) | 場面 | 伝えた人 |
|---|---|---|
| 一言で国を滅ぼす言葉がある。「どうにかなろう」がそれだ | 幕府が滅んだ理由を語って | 福地源一郎(部下) |
| 同じ売り家でも、土蔵付きのほうが高く売れる | 横須賀製鉄所を建てる理由を問われて | 栗本鋤雲(盟友) |
| 治らない病と知っても薬を与えるのが子のつとめ。国が滅び身が倒れるまで務めるのが真の武士 | 幕府の行く末を案じる声に | 伝わる言葉 |
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名言1「一言で国を滅ぼす言葉がある」
一言を以て国を亡ぼすべき言葉ありや、「どうかなろう」というもの是なり。幕府が滅亡したるはこの一言なり。
小栗忠順(福地源一郎『幕末政治家』による)
意味:たった一言で国を滅ぼしてしまう言葉がある。それは「どうにかなるだろう」だ。幕府が滅んだのは、この一言のせいである。
小栗の部下だった福地源一郎(のちの新聞記者・福地桜痴)が、明治になって書いた『幕末政治家』の中で紹介している言葉です。問題が起きても「まあ、どうにかなるだろう」と先送りにする役人たちの気風を、小栗は何よりも嫌いました。
小栗は、財政でも外交でも、先を読んで手を打つ人でした。横須賀の造船所も、フランス式の陸軍も、「どうにかなる」ではすまないと考えたからこそ、反対を押し切って始めたものです。今の会社や役所にもそのまま当てはまる言葉として、よく引かれます。

名言2「土蔵付きの売り家」
幕府の運命に限りがあるとも、日本の運命には限りがない。……同じ売り家でも、土蔵付きの売り家は高く売れる。
小栗忠順(栗本鋤雲の回想による。要旨)
意味:幕府はいつか終わるかもしれないが、日本はこれからも続く。たとえ幕府という家を売り渡すことになっても、造船所という立派な「蔵」がついていれば、その家の値打ちは上がる。
横須賀製鉄所の建設には、幕府の中でも「莫大な費用をかけても、幕府がつぶれたら無駄になる」という反対がありました。それに対して小栗が言い返したとされるのがこの言葉です。親友の栗本鋤雲が、晩年の回想に書き残しています。
その言葉どおり、造船所は明治政府に引きつがれて横須賀海軍工廠となり、日本の近代化を支えました。明治のはじめに完成したドックは、今も米海軍横須賀基地の中で使われています。


名言3「国が滅び、身が倒れるまで」
病の癒ゆべからざるを知りて薬せざるは孝子の所為にあらず。国亡び身倒るるまでは公事に鞅掌するこそ真の武士なれ。
小栗忠順(伝わる言葉)
意味:親の病がもう治らないと知っていても、薬を与えるのをやめるのは孝行な子のすることではない。国が滅び、自分が倒れるその時まで、公の仕事に力を尽くすのが本当の武士だ。
幕府の先行きが暗いことは、小栗自身がいちばんよく分かっていたはずです。それでも小栗は、勘定奉行として、軍艦奉行として、最後まで改革の手を止めませんでした。「どうせ滅びるなら何もしない」のではなく、「滅びるまで手を尽くす」。小栗の生き方そのものといえる言葉です。

ほかの人が小栗について語った言葉
大隈重信「明治の近代化は、小栗の模倣にすぎない」
明治政府で大蔵卿や総理大臣を務めた大隈重信が、こう語ったと広く伝えられています。ただし、この言葉が大隈のどの発言・文章にあるのかははっきりせず、出どころは確かめられていません。
大村益次郎「その策が行われていたら、我々の首はなかった」
新政府軍の軍事の中心だった大村益次郎が、小栗の作戦(箱根で迎え撃ち、艦隊で背後を突く)を知って、こう言ったと伝わります。これも後の時代の伝聞です。
東郷平八郎の礼
日露戦争の日本海海戦で勝った東郷平八郎は、のちに小栗の遺族を招き、「日本海海戦で勝てたのは、小栗さんが横須賀の造船所を造っておいてくれたおかげ」という意味の礼を述べたと伝わります。
▶ 小栗上野介と親しかったのは誰か—福地源一郎、渋沢栄一、大隈重信/小栗忠順はいつ再評価されたのか
最期の言葉
慶応4年(1868年)閏4月6日、小栗は上野国の烏川の水沼河原で、取り調べもないまま斬られました。そのとき小栗は取り乱すこともなく、家来たちをいたわる言葉をかけたと伝わります。言い残した言葉の中身については、記録によって食い違いがあります。

名言から見える小栗の人柄
| 言葉 | 見えてくる人柄 |
|---|---|
| 「どうにかなろう」が国を滅ぼす | 問題を先送りにしない。先を読んで手を打つ |
| 土蔵付きの売り家 | 幕府という組織より、日本という国の将来を考えていた |
| 国が滅び身が倒れるまで | 勝ち目がなくても、自分の務めを最後まで果たす |
大河ドラマ『逆賊の幕臣』では、これらの言葉がどんな場面で、どんな言い回しで出てくるのかにも注目です。
参考資料
- 福地源一郎『幕末政治家』
- 栗本鋤雲の回想(『匏庵遺稿』ほか)
- 写真:Wikimedia Commons(パブリックドメイン/CC0)、当サイト撮影
小栗忠順のゆかりの地をめぐる
小栗のゆかりの地は、東京・横須賀・埼玉・群馬に集まっています。姉妹サイト「日本の歴史旅ガイド」で、都内から回るモデルコースを紹介しています。
- 【現地取材】小栗上野介ゆかりの地を1日でめぐる|築地・雑司ヶ谷・大宮・倉渕の回り方とモデルコース、ゆかりの地一覧(回る順番と移動時間、エリア別の一覧)
- 【現地取材】小栗上野介の生まれた場所はどこ?生誕地・神田駿河台の小栗家屋敷跡と横須賀のゆかりの地(ヴェルニー公園の胸像と、烏川の河原から運ばれた記念石。神田駿河台の生誕地)
- 小栗上野介ゆかりの地 ― 東京・横須賀・埼玉・群馬をたどる(まとめ)
- 倉渕・東善寺をめぐるモデルコース(都内発・車で1泊2日。墓所の東善寺、最期の地、普門院の首塚)
- 横須賀の日帰りコース(都内発。軍港めぐりで、小栗が始めた造船所を海から見られます)
倉渕(高崎市)の東善寺や最期の地は駅から離れているので、高崎駅前でレンタカーを借りると回りやすくなります。各社の料金はじゃらんレンタカーで比べられます(PR)。
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小栗忠順をもっと知る本
記事の内容をもっと知りたい方に、小栗忠順を扱った本を紹介します。
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2027年NHK大河ドラマ
『逆賊の幕臣』大河ドラマ特集
放送日・キャスト28人と相関・あらすじ・見どころから、主人公・小栗忠順の生涯とゆかりの地の現地写真まで、1ページで徹底解説しています。
▶ 大河『逆賊の幕臣』の登場人物を知る
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- 神尾楓珠さんが演じる徳川家茂とは何をした人物か—十三歳で将軍、和宮と結ばれ、二十一歳で大坂城に没した十四代
- 岩田剛典さんが演じる阿部正弘とは何をした人物か—二十七歳で老中首座、黒船に「みんなの意見」を聞いた宰相
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- 岡部たかしさんが演じる井伊直弼とは何をした人物か—埋木舎の部屋住みから大老へ、小栗忠順を世に出し桜田門外に散った人
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- 高橋光臣さんが演じる駒井朝温とは何をした人物か—小栗の三歳上の幼なじみ、次男を小栗家の養子に出した大目付
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