長塚京三さんが演じる鷹司政通とは何をした人物か—三十三年関白を務めた朝廷の重鎮、条約勅許で孝明天皇と対立し安政の大獄で落飾

京都御所の紫宸殿と、前庭の白砂に二列に控える束帯姿の公家たち(イメージイラスト)

2027年NHK大河ドラマ『逆賊の幕臣』(2027年1月10日放送開始/主演・松坂桃李)の関連記事です。▶ 大河『逆賊の幕臣』特集に、関連記事とキャスト一覧をまとめています。

大河ドラマ『逆賊の幕臣』では、長塚京三さんが鷹司政通を演じます(2026年9月15日発表)。

鷹司政通(たかつかさ まさみち)は、幕末の朝廷の重鎮です。文政六年(1823年)から安政三年(1856年)まで、三十三年にわたって関白を務めました。関白を退いた後も内覧として朝廷の議論に大きな影響を持ち続け、「太閤」と呼ばれました。

大河ドラマ『逆賊の幕臣』では、「古い朝廷の権化」として描かれるようです。ただ、史実の政通は、ペリー来航後の朝廷でむしろ開国を受け入れるべきだと考えた人でもありました。この記事では、鷹司政通が何をした人なのかをまとめます。

目次

鷹司政通とは?—先に答え

読み方たかつかさ まさみち
生没寛政元年(1789年)生まれ、明治元年(1868年)没。小栗忠順と同じ年に世を去っています
家五摂家の一つ・鷹司家。父は関白・鷹司政煕
何をした人三十三年間関白を務め、仁孝・孝明の二代の天皇を支えた公家。条約勅許問題では開国やむなしの立場をとって孝明天皇と対立し、力を失いました
正室水戸藩主・徳川治紀の娘、清子。徳川斉昭の姉にあたります(徳川斉昭とは)
処分安政の大獄で落飾(出家)・慎を命じられました
子鷹司輔煕(のちに関白)
大河ドラマ『逆賊の幕臣』で長塚京三さんが演じます

三十三年、関白の座に

鷹司家は、近衛・九条・二条・一条と並ぶ五摂家の一つで、摂政や関白に就くことができる最上位の公家です。政通は父・政煕の跡を継ぎ、文政六年(1823年)に関白となりました。それから安政三年(1856年)まで、三十三年にわたってその座にありました。

弘化三年(1846年)、仁孝天皇が急に亡くなると、政通は事態の収拾に当たり、十六歳で践祚した孝明天皇を支えます(孝明天皇とは)。若い天皇は、この老練な関白を深く頼りにしました。安政三年に関白を退いた際、天皇は特別に「太閤」の称号を贈っています。

水戸の徳川斉昭とは義理の兄弟

政通の正室・清子は、水戸藩主・徳川治紀の娘で、のちに攘夷派の旗頭となる徳川斉昭の姉でした。鷹司家と水戸徳川家は、姻戚として深く結ばれていたのです。

斉昭は政通を通じて朝廷の動きを知り、また朝廷に自分の考えを伝えることができました。幕末に水戸藩が朝廷に強い影響力を持った背景には、この縁がありました。

開国やむなし—孝明天皇との対立

ペリー来航の後、政通は外国との関係について、むやみに打ち払うのではなく、ある程度は受け入れるほかないという考えを持っていました。安政五年(1858年)、幕府が日米修好通商条約の勅許を求めたとき、政通は当初、勅許を与えるべきだとしました。

しかし、孝明天皇は強く反対しました。政通は「幕府と対立すれば、承久の乱のような事態を招きかねない」と天皇を諫めたと伝わりますが、聞き入れられません。岩倉具視ら若い公家たちも勅許に反対して御所に押しかけ、政通の立場は急速に弱まりました(岩倉具視とは)。安政五年七月、政通は内覧を辞しています。

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安政の大獄で落飾

勅許のないまま条約が調印されると、朝廷から水戸藩へ「戊午の密勅」が下されました。大老・井伊直弼は、密勅に関わった人々を厳しく処罰します(井伊直弼とは)。

この安政の大獄で、政通は落飾・慎の処分を受けました。条約については開国を受け入れる考えだった政通が処分されたのは、密勅や将軍の跡継ぎをめぐる問題で、水戸の斉昭に近い立場とみなされたためとされます。水戸徳川家とのつながりが、ここでは裏目に出たとも言えます。

明治元年に世を去る

政通は晩年まで生き、明治元年(1868年)に亡くなりました。小栗忠順が上州で斬られたのと同じ年です。三十三年間関白を務め、江戸時代の朝廷のしくみを体現した人物は、その朝廷が新しい政府の中心に変わっていくのを見届けるように世を去りました。

政通の子・鷹司輔煕は、文久三年(1863年)に関白となり、八月十八日の政変の前後の朝廷を率いています。

大河『逆賊の幕臣』で長塚京三さんが演じる鷹司政通—役どころと史実の見せ場

役どころ(NHKの発表):三十年以上にわたり関白などを務めた、古い朝廷の権化

史実から見た見せ場:政通は三十三年にわたって関白を務めた朝廷の重鎮です。条約勅許の問題では開国やむなしの立場をとって孝明天皇と対立し、安政の大獄で落飾しました。徳川斉昭の義理の兄弟でもあります。

大河ドラマ『逆賊の幕臣』では、長塚京三さんが鷹司政通を演じます。2026年9月15日に発表された朝廷側の四人の一人で、三十年以上にわたって関白などの要職を務めた、古い朝廷の権化として紹介されています。

朝廷側の配役は大河『逆賊の幕臣』朝廷側のキャスト、全体は大河『逆賊の幕臣』特集にまとめています。

鷹司政通の家族・先祖・子孫と最期—人物データ

家族父は関白・鷹司政煕、母は徳島藩主・蜂須賀重喜の娘。正室は水戸藩主・徳川治紀の娘・清子(徳川斉昭の姉)。子に、のちに関白となった輔煕
先祖・家鷹司家は藤原北家の流れをくむ五摂家の一つ。家祖は鎌倉時代の鷹司兼平
子孫鷹司家は現代まで続いています
最期明治元年十月十六日(1868年11月29日)に死去。数え八十歳。小栗忠順と同じ年に世を去りました
墓所二尊院(京都市右京区嵯峨)の公家の墓所

鷹司政通の逸話

  • 朝廷の儀式の記録をほとんど暗記しており、先例を聞かれるとすぐに答えたと伝わります
  • 条約勅許の問題では、はじめ開国を唱え、のちに考えを変えたとされます

鷹司政通のゆかりの地めぐり

  • 二尊院(京都市右京区)
  • 鷹司邸跡(京都御苑内。禁門の変で焼けた場所)

長塚京三さんの歴史ドラマ・映画への出演

  • 大河ドラマ『花神』(1977年)土方歳三
  • 大河ドラマ『炎立つ』(1993〜94年)源頼朝
  • 大河ドラマ『篤姫』(2008年)島津忠剛
  • 大河ドラマ『花燃ゆ』(2015年)杉百合之助
  • ドラマ『眩〜北斎の娘〜』(2017年)葛飾北斎

※出演歴は公開されている出演作の一覧などをもとに、主なものを挙げています。

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参考資料

『公卿補任』、『孝明天皇紀』、藤田覚『幕末の天皇』(講談社学術文庫)、鷹司政通を扱った研究(CiNii「開国前夜の天皇・朝廷と鷹司政通」ほか)、NHK大河ドラマ『逆賊の幕臣』出演者発表(2026年9月15日)。

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