| 大元丸 | |||
| 藩名 | 江戸幕府 | ||
| 藩主 | 徳川慶喜 | ||
| 船種 | バーク船 | ||
| 機関 | 帆走 | ||
| 備砲 | 0門 | ||
| 材質 | 木製 | ||
| 馬力 | 0馬力 | ||
| 写真 | 無 | ||

国産で鹿児島にて建造されます。薩摩藩が建造し幕府へ献納しました。
所属した江戸幕府と、小栗忠順の横須賀製鉄所
この船・大元丸を運用したのも、江戸幕府です。幕府は艦船を買うだけでなく、自前で造り修理する力を持とうとしました。
この時期の幕府海軍を財政面から支えたのが、勘定奉行の小栗忠順でした。横須賀製鉄所の建設を主導した人物です。
江戸幕府が持っていた艦船
一隻だけを見ていると、その幕府が海にどれだけ力を入れていたかは分かりません。当サイトで扱っている江戸幕府の艦船は三十七隻で、内訳は輸送船が十八隻、砲艦・軍艦が五隻、帆船が十二隻、その他が二隻です。
数が多いため一部だけ挙げます。豊安丸、長崎丸、震天丸、高雄丸、龜田丸、函館丸、君澤形丸、旭日丸、鳳瑞丸、昌平丸(昇平丸)など。
数のうえで中心になっているのは、戦うための砲艦ではなく人と物を運ぶ船です。幕末の海軍は、兵を運び、米を運び、使者を運ぶ仕事から始まっていました。
その中心にいたのが、勘定奉行などを歴任した小栗忠順です。小栗はフランスの協力を得て横須賀に製鉄所(造船所)を建設し、日本の近代造船の礎を築きました。幕府は倒れましたが、この施設はのちの日本海軍・造船業に受け継がれます。大元丸は、そんな幕府の近代化を映す一隻でした。全体像は幕末の軍艦のページへ。
昇平丸と同じ型の船でした
薩摩藩が安政のはじめに造った洋式帆船のうち、幕府へ渡されたのが大元丸と鳳瑞丸の二隻です。研究者のまとめた表では、この二隻の建造にかかった費用が四万両とされています。同じころ薩摩藩は雲行丸、万年丸、承天丸も造っており、これらはいずれも昇平丸と同じ型だったといわれます。
昇平丸が幕府へ献上されるまで
その昇平丸は、桜島の瀬戸村、漕ノ浦の造船所で嘉永六年五月二十九日に起工し、嘉永七年四月三日に進水、安政元年十二月十二日に竣工しました。安政二年六月九日には将軍徳川家定が浜御殿から遠くこれを望み、同じ年の八月十三日に幕府へ献上されて「昌平丸」と名を改め、練習船になっています。この船は明治三年三月、松前沖で嵐に遭い、北海道上ノ国の猫澤海岸で座礁して壊れました。
大船建造の禁が解けたのは、ペリーの三か月後です
五百石積み以上の船を造ることは、寛永十二年の武家諸法度以来ずっと禁じられていました。これが解かれたのは嘉永六年九月、ペリーが浦賀へ来てから三か月後のことです。薩摩藩が船を造りはじめたのは、まさにその直後にあたります。
「日の丸を掲げた最初の船」という話
昇平丸については、日の丸を掲げた最初の日本の船だという話がよく語られます。鹿児島県の観光資料は、島津斉彬が大船建造の解禁を願い出た際に、外国の船と見分けるため白地に赤い日の丸を掲げてはどうかと幕府へ提案し、安政元年七月十一日に幕府がこれを日本総船印と定めた、としています。ただし世界大百科事典のほうは、日の丸を強く主張したのは前の水戸藩主・徳川斉昭だとしており、斉彬の名も昇平丸の名も出てきません。俗説にすぎないという見方もありますので、諸説あるものとして書き添えておきます。
大元丸を船の型と持ち主から読む
大元丸は帆走の船です。機関も石炭もいらない帆船は、藩にとって安く使いやすい運び手でした。(帆船と蒸気船の違い)船種は「バーク船」。後ろのマストだけに縦帆を張る3本マストの「バーク型」の帆装の船です(帆の張り方・軍艦の格)。
当サイトで紹介している江戸幕府の船は、この大元丸を含めて39隻あり、そのうち帆船は17隻です。同じ江戸幕府の船には、開陽丸(シップ級フリゲート)、豊安丸(輸送船)、長崎丸(輸送船)、震天丸(輸送船)、高雄丸(砲艦)、龜田丸(スクーナー船)、函館丸(スクーナー帆船)、君澤形丸(スクーナー帆船)などがあります。
持ち主の江戸幕府の幕末をふり返ると、幕府海軍。戊辰戦争では榎本武揚が艦隊を率いて箱館へ渡り、明治2年に降伏。大元丸も、そうした幕府の歩みのなかで使われた一隻です(藩ごとの船と幕末の立場)。
同じころの幕府—大船建造の禁の解除
大きな船を造れなかった時代
江戸時代の幕府は、大名が大きな船を持つことを禁じていました(大船建造の禁)。ところが嘉永六年(1853)のペリー来航で、日本の海の守りの弱さがはっきりします。幕府はこの年の九月、大船建造の禁を解き、諸藩にも洋式の船を造ることを認めました。
船を造る時代へ
大元丸が造られ始めた嘉永六年は、まさにその転換の年でした。これをきっかけに、薩摩・佐賀・水戸などの諸藩は競うように洋式の船を造り始め、やがて外国から蒸気船を買い入れる時代へと進んでいきます。



