溝渕広之丞 宛

溝渕広之丞 宛

原文
拝啓候。然ニ昨日鳥渡申上候彼騎銃色々手を尽し候所、何分手ニ入かね候。先生の御力ニより候ハずバ外ニ術なく御願の為参上仕候。何卒御願申上候。彼筒の代金ハ三十一両より三十三両斗かと存候。うち今一所より申来候もの四十金申候。あまり法外に高金と存候ま〃無余儀先生を労し奉候。宜しく御聞込可被下候。十六日頓首才谷梅太郎溝渕広之丞先生左右
現代文
拝啓おげんきですか。昨日ちょっと話した騎銃(騎兵隊が持つ銃)色々と手を尽くしてはいるが中々手に入らない。先生のご尽力により他は手段がなくお願い致します。何卒宜しくお願い致します。これらの代金は31両から33両ほどかと思います。あるところから聞いた話では40両と申していました。あまりに法外に高くても仕方なく先生には苦労をかけますね。宜しくお聞き届け下さい。16日才谷梅太郎(龍馬の変名)溝渕広之丞先生(土佐藩郷士:龍馬の剣の同門)
目次

この手紙について

「昨日話した騎銃(騎兵用の銃)を、あれこれ手を尽くして探しているが、なかなか手に入らない。先生のお力添えのほか手段がなく、お願いに参上しました。代金は三十一〜三十三両ほどかと思うが、あるところでは四十両と言います。あまりに法外なので、何とか」という、武器調達の依頼です。十六日付、才谷梅太郎の署名。剣の同門である相手を頼る、龍馬の実務的な一面が表れています。

宛先「溝渕広之丞」とは

溝渕広之丞(みぞぶち ひろのじょう)は土佐郷士で、龍馬とは剣術の同門でした。気心の知れた相手として、武器調達の骨折りを頼んでいます。

この手紙が書かれたころの龍馬の境遇

諸藩の武装が進むなか、龍馬も銃の調達に奔走していました。値段の交渉にまで細かく気を配る、抜け目のない実務家の顔がのぞきます。

幕末全体の動き(慶応年間)

各藩が競って西洋式の銃を買い集め、銃の相場は高騰していました。武器を手に入れる力が、そのまま戦力に直結した時代です。

土佐藩の当時の動き

剣の同門という土佐時代の縁が、こうした実務でも生きていました。郷里の人脈は、龍馬にとって何より頼れる財産でした。

坂本龍馬の手紙139通(現代翻訳文)一覧

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