戊辰戦争の戦場で、軽快な四斤山砲とともに主力として活躍したのが「十二斤砲(じゅうにきんほう)」です。ナポレオン3世時代のフランスに由来することから「ナポレオン砲」とも呼ばれるこの大砲は、扱いやすさと威力のバランスに優れ、幕末の野戦を支える定番の存在でした。四斤山砲より一回り大きく重い分、火力に勝るこの砲の特徴を見ていきましょう。

十二斤砲とは——青銅製の万能野砲
十二斤砲は、前装式で砲身に施条のない滑腔(かっこう)の野砲です。多くは青銅で鋳造され、砲弾のおおよその重さ(約12斤=12ポンド)から、この名で呼ばれました。フランスで広く用いられ、その汎用性の高さから各国に普及した、いわば当時の「標準的な野砲」でした。
汎用性——一門で何役もこなす
十二斤砲の魅力は、その万能さにあります。用いる砲弾を替えることで、さまざまな戦況に対応できました。遠くの敵陣には炸裂する榴弾を、密集した敵兵には小さな弾を撒き散らす榴散弾やキャニスター弾を——と、一門で攻城戦から野戦、近接防御までこなせたのです。この使い勝手の良さが、十二斤砲を戦場の定番たらしめました。
十二斤砲 スペック(性能一覧)
| 種別 | 前装式・滑腔の野砲 |
|---|---|
| 装填方式 | 前装(砲口から装填) |
| 材質 | 主に青銅 |
| 砲弾 | 約12斤(12ポンド)級。榴弾・榴散弾など |
| 由来 | フランス(ナポレオン砲) |
| 用途 | 野戦・攻城など汎用 |
戊辰戦争での役割
戊辰戦争では、十二斤砲は各地の戦線で盛んに用いられました。軽量で機動性に優れた四斤山砲が「素早く動く火力」だとすれば、十二斤砲は「腰を据えて撃ち込む火力」。両者は役割を分担しながら、砲兵戦の主役を務めました。歩兵の突撃を援護し、敵陣を切り崩す——十二斤砲の砲声は、戊辰の戦場に欠かせない響きだったのです。
アームストロング砲のような最新鋭の後装施条砲が注目を集める一方で、こうした前装滑腔の汎用砲が数多く使われ、実際の戦いを支えていた点も見逃せません。軽快な四斤山砲とあわせて知ると、幕末の大砲の全体像がより立体的に見えてきます。
まとめ
十二斤砲(ナポレオン砲)は、フランス由来の前装滑腔の青銅野砲で、砲弾を替えることで多様な戦況に対応できる万能野砲でした。四斤山砲と役割を分け合いながら、戊辰戦争の砲兵戦を支えます。派手さはなくとも、実戦で最も頼りにされた大砲の一つでした。ほかの火器は銃器の一覧もご覧ください。

