戊辰戦争の戦場を、あちこち身軽に駆けめぐった大砲があります。「四斤山砲(よんきんさんぽう)」です。アームストロング砲のような最新鋭の大砲が注目を集める一方で、この小型で扱いやすい砲は、実際の戦いで新政府軍や諸藩に広く用いられ、大きな役割を果たしました。派手さはないものの、幕末の陸戦を語るうえで欠かせない“働き者”の大砲です。その特徴を見ていきましょう。

四斤山砲とは——軽くて運べる施条砲
四斤山砲は、フランス式の技術にもとづく前装式の施条砲(山砲)です。「四斤」とは砲弾のおおよその重さを、「山砲」とは山地でも運用できる軽量な野砲であることを表しています。砲身に施条を持つため命中精度が高く、それでいて小型・軽量なので、人馬で引いたり分解して運んだりと、機動性に優れていました。
なぜ戊辰戦争で重宝されたのか
四斤山砲が各地で活躍した理由は、その扱いやすさにあります。日本は山がちで、道の狭い地形も多い土地です。大きく重い大砲では、そうした場所へ運び込むだけでも一苦労でした。その点、軽量で分解運搬もできる四斤山砲は、山道や隘路の多い戦場でも素早く展開できます。
しかも、施条によって命中精度は確保されている。「運びやすさ」と「よく当たること」を両立したこの砲は、機動的な戦いが求められた戊辰戦争において、まさにうってつけの存在でした。新政府軍をはじめ、多くの勢力がこの砲を戦力に組み込んでいきます。
四斤山砲 スペック(性能一覧)
| 種別 | 前装式・施条砲(山砲・小型野砲) |
|---|---|
| 装填方式 | 前装(砲口から装填) |
| 砲身 | 施条あり(ライフリング) |
| 口径 | およそ86mm前後(諸説あり) |
| 砲弾 | およそ4斤(4ポンド)級 |
| 特徴 | 軽量・分解運搬可・機動性が高い |
| 由来 | フランス式 |
戊辰戦争での活躍
戊辰戦争では、四斤山砲は各地の戦線で盛んに用いられました。歩兵の進撃を支援し、敵の陣地を崩し、時には市街戦にも投入される——その軽快さゆえに、四斤山砲はさまざまな局面で活躍しています。大砲というと据え付けて撃つ重厚なイメージがありますが、四斤山砲はむしろ、兵とともに前進する機動的な火力でした。
華々しい最新兵器の陰に隠れがちですが、実戦で数多く使われ、着実に戦果をあげたという意味では、四斤山砲こそ戊辰戦争を支えた大砲だったといえるかもしれません。
まとめ
四斤山砲は、フランス式の前装施条砲で、軽量ゆえの高い機動性と、施条による命中精度を兼ね備えた山砲でした。山がちな日本の地形に適し、戊辰戦争では新政府軍をはじめ各勢力に広く用いられます。最新鋭のアームストロング砲とはまた違った形で、幕末の陸戦を支えた実用的な大砲でした。ほかの火器は銃器の一覧もご覧ください。

