7連発ではない、しかし当時最強クラス——幕府が頼ったシャスポー銃

「しゃすぽー銃」という名前は聞いたことがあっても、その正体はあまり知られていません。7連発の連発銃と混同されることもありますが、実際は違います。シャスポー銃は、当時最新鋭のフランス製“後装式単発ライフル”でした。単発でありながら、旧来の前装銃をはるかに上回る速さで撃てたこの銃は、幕末の一部の勢力にとって頼みの綱となります。その実力を解説します。

シャスポー銃のイラスト
シャスポー銃(イラスト)
目次

シャスポー銃とは——フランス生まれの後装ニードルガン

シャスポー銃は、フランスが1866年に採用したボルトアクション式のライフル銃です。最大の特徴は、弾を銃口からではなく銃の後方(機関部)から込める「後装式(こうそうしき)」であること。手元のボルト(遊底)を操作して薬室を開き、紙製の薬莢に包まれた弾を入れ、ボルトを閉じて撃つ——この仕組みにより、装填の手間が劇的に減りました。撃針(ニードル)で薬莢を突いて発火させることから、「ニードルガン」とも呼ばれます。

7連発ではない——単発だが「速い」

ここで大切なのが、シャスポー銃は連発銃ではなく「単発銃」だという点です。7連発で知られるのはスペンサー銃であり、シャスポー銃は一発撃つごとに次の弾を込め直します。しかし、後装式であるがゆえに、その装填はきわめて速い。前装銃のように銃口から火薬と弾を詰め込む必要がないため、単発でありながら、ミニエー銃やエンフィールド銃を上回る発射速度を実現しました。

さらに、有効射程の長さも特筆されます。当時の小銃としては非常に遠くまで正確に届き、性能面では世界最先端の一角を占めていました。「連発ではないが、単発として最強クラス」——それがシャスポー銃だったのです。

シャスポー銃 スペック(性能一覧)

種別 後装式・単発ライフル(ボルトアクション/ニードル式)
装填方式 元込め(後装式)
発火方式 撃針(ニードル)式
弾薬 紙製薬莢
口径 およそ11mm
有効射程 長距離(数百m〜、諸説あり)
製造国 フランス(1866年採用)

幕末での使用

幕末の日本で、シャスポー銃と関わりが深かったのが旧幕府側でした。幕府は軍制の近代化にあたってフランスの軍事顧問団を招いており、その縁からフランス最新鋭のシャスポー銃が一部で導入されたと伝えられます。戊辰戦争の後半、北へ転戦した旧幕府軍のなかにも、この銃を手にした部隊がありました。

もっとも、輸入された数は限られており、戦局を大きく動かすほど広くは行き渡りませんでした。それでも、当時最先端の後装銃が幕末の日本に持ち込まれ、実際に使われたという事実は、この時代の軍事がいかに世界の最新技術と直結していたかを物語っています。

まとめ

シャスポー銃は、フランス製の後装式・単発ボルトアクションライフルで、7連発のスペンサー銃とは異なり単発ですが、後装式ゆえの速い装填と長い射程で当時最強クラスの性能を誇りました。幕末では主に旧幕府側で用いられます。前装銃から後装銃へという銃の進化のなかでの位置づけは、銃器の一覧とあわせて捉えると分かりやすいでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次